回収された廃食用油は、家畜飼料用や石けん、塗料、脂肪酸などの原料として利用されていますが、これらの利用は需要変動が大きく不安定な状態にあります。
農林水産省では、石けんや飼料などの従来の廃食用油の用途のほかに、新たな用途を開拓するため「廃食用油需要開拓緊急推進事業」を平成6年度より実施し、食用油を用いたディーゼルエンジン燃料の製造を検討してきました。
現在、燃料の保存安定性や燃料をディーゼルエンジンで燃焼したときの排気成分など、積み残された課題について、平成9年度より「廃食用油高度利用検討推進事業」に引き継いで試験研究を行っています。
ディーゼルエンジン燃料としては、着火性が良好なことなどとともに、燃料の粘度が適正であることが必要な条件になります。植物油は、そのままでは粘度が高いため粘度を下げる処理が必要であり、その方法の1つがエステル交換反応です。
下図のように、植物油にメタノールとアルカリ触媒を加えると、メタノールと粘度の高いグリセリンが入れ替わり、メチルエステール(ディーゼルエンジン燃料)とグリセリンが生成します。